夫と同じ墓に入りたくない!死後離婚とは?
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夫のお墓には入りたくない!
ゆくゆくは自分も家族もこのお墓に入るのだな…と感慨深く感じた方もいらっしゃると思われますが、そうならないかもしれません。
2014年にNHKの『あさイチ』という番組が妻を対象に行った、「あなたは夫の墓に入りたいですか」というアンケートに対し、「夫と同じ墓に入りたくない」と答えた方の割合は59.1%と、6割弱に上りました。その理由の多くが「夫の親族と同じ墓に入りたくないから」というもので、夫がイヤというより夫の家族がイヤだからという意識が強いようです。
結婚すると自動的に、姻族関係(妻から見て、姑や舅といった間柄)も発生します。離婚をすると姻族関係は終了し、嫁と姑という関係も終了します。しかし配偶者と死別した場合だと、姻族関係は終了しません。
夫が亡くなったので、夫の親族とはもう親戚付き合いをしたくない!という女性に、死後離婚という制度が注目されています。
配偶者の死後に、「姻族関係終了届」を提出する
提出先は、本籍地または住所地の市区町村役場です。必要に応じて、戸籍謄本などを添付資料に求められることがあります。
提出する際には姻族側(義理の両親など)からの同意は必要なく、配偶者の死亡後なら一方的に手続きをできます。話し合いや調停などが不要なので、離婚という言葉は適切ではないかもしれません。
姻族関係終了届は生存している配偶者が提出するので、妻に先立たれた夫ももちろん出すことができます。
姻族関係終了届の提出数は増えてきており、法務省戸籍統計平成26年度年報によると2009年では1823件、2014年には2202件となっています。
姻族関係終了届のメリット、デメリット
扶養義務、お墓の管理義務がなくなる
姻族、つまり配偶者の父母や兄弟姉妹の扶養義務がなくなります。姑や舅が介護で困ったときや生活保護を受けようとしたときでも、面倒を見る役割から開放されます。
また、姻族のお墓に入ることや、お墓の管理義務も負わなくなります。上述の「夫のお墓に入りたくない!」という女性には願ったり叶ったりではないでしょうか。
相続権などは存続する
姻族関係終了届は亡くなった配偶者の親族との関係を終了させるものなので、夫の財産は変わりなく相続することができます。夫の遺産を返却する必要もありません。
また、姑や舅が亡くなった際は代襲相続が起こり、自分の子(姑、舅から見て孫)が法定相続人となります。
上記の通りあくまで姻族との関係を終了させるものなので、届の提出後も遺族年金を引き続き受給することができます。
デメリットは、感情的なもの
姻族関係終了届を提出するデメリットとしては、感情的なものが挙げられます。「裏切ったような感じがする…」という感情を持ったり、「本当の娘のように思っていたのに…」という感情を持たれたりすることが考えられます。
届の提出後は、自分のお墓を決める
通常は実家のお墓に入られると思いますが、色んな墓地を見学し、墓友を作るのもよいかもしれません。
お子さんが居られなければ、永代供養墓や本山納骨を検討しましょう。その際、せっかく用意した終の棲家にきちんと入れるよう、遺言書を書き、遺言執行者を指定することも忘れないようにしましょう。
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海洋散骨や手元供養、果ては宇宙葬など、埋葬のかたちは多様化してきています。家族や親戚付合いなどの親族関係も、これから変化していくのかもしれません。
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