中国のお墓事情


 お墓の承継者がいない、現在あるお墓に入りたくない、そして何よりお墓への意識の変化から、日本では埋葬の形態が多様化してきています。墓友との共同墓樹木葬、散骨などがその代表例です。
 海洋散骨を制限する条例を設ける自治体もあり、墓地の新設を敬遠する市町村が増えています。埋葬の方法は多様化しても、埋葬する場所に関する問題が未だあります。他国ではどのような問題があるのでしょうか。ここでは中国のお墓事情を少しご紹介したいと思います。

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 「マンションの使用目的は『派用場』なのですが…」中国の農村部の不動産会社には、昨秋以降からこのようなマンションの購入希望が増えているそうです。「派用場(パイ・ヨン・チャン)」の直訳は「使い道がある」ですが、ここでは「マンションの一室を墓代わりにしたい」という意味になります。
 上海などの中国の大都市は、経済成長とともに地価上昇が進みました。この地価価格の高騰は墓地にも及び、上海の中心部の墓地の1㎡当たり平均9万元(約153万円)にもなります。この1㎡当たりが9万元という価格は、同じ地区のマンションの1㎡当たりの単価と比較して約4倍にもなるという、非常に高い値です。しかし農村部のマンションでは1㎡当たりの単価が約3,750元と、都市部の墓地と比べると非常に安価になっています。また、墓地の利用期間が最長20年と決められているのに対し、マンションなら70年間も使い続けることができます。
 「派用場」として使用される物件は築30年以上の老朽化したマンションが多く、住民とのトラブルを避けるために墓代わりということは秘密にして購入することがほとんどです。「派用場」は複数の家族が共同で買うことが多く、庭がついている1階の部屋が特に人気が高いそうです。

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墓地不足の背景と見通し

 中国の風習として、血縁者がお墓を継いでいくのではなく、個人ごとがそれぞれのお墓を購入することが多いです。また、長く続いた一人っ子政策の影響から、年間の死者数は1000万人以上に膨らむと予想されています。これらのような背景が墓地の価格高騰と供給不足につながっています。このままだと2020年には中国の墓地用地がなくなる見通しで、中国政府は散骨を奨励しています。散骨の費用は無料で、週に1回、遺族が船に乗り、花などといっしょに遺灰を海にまきます。年に20%のペースで利用者が増えているとのことです。
 大切な家族を見送った後、安心して遺骨を置いておける場所がない…。中国でもこのお悩みは深刻なようです。


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2016-05-09 | Posted in お墓ニュースComments Closed 

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