遺骨の自宅保管


 改葬先のお墓がまだできていない、良い納骨先が見つからない、故人とまだ離れがたい…。
 物理的な事情や心情的な理由で、自宅でご遺骨を保管することもあると思います。自宅で遺骨を保管することの可否や、その際に注意すべき点などを解説いたします。


16.6.7.1
 通常、自宅で遺骨を保管することに問題は生じません。
 以前、自宅の庭をお墓にすることはできないと解説いたしました。自宅の庭をお墓にするのと、自宅で遺骨を保管するのにはどのような違いがあるのでしょうか。
 ここでは、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」という墓地埋葬法4条の規定の中の「焼骨の埋蔵」とはどういうものかが問題となります。

 「埋蔵」という言葉は、「土地の上下、中外を問わず、人目に触れない状態において所在している(こと)」と解釈されています。
 自宅で遺骨を保管することは「人目に触れない状態」にすることとまではいえないので、「焼骨の埋蔵」に該当しません。よって、自宅の庭にお墓を造って納骨すること(人目に触れない状態にすること)と違い、自宅で遺骨を保管することは墓地埋葬法4条に違反するものではありません。行政解釈も同じ見解をとっています。

 また、自宅に遺骨を保管することは他人の委託を受けて行うことではないので、納骨堂と見られることもありません。墓地にしていることにも納骨堂にしていることにも当たらない限りは、自宅で遺骨を保管することに問題はありません。

遺骨の遺棄には当たらないか?

16.6.7.2
 墓地埋葬法上だけでなく、通常は刑法上においても自宅で遺骨を保管することに問題はありません。
 刑法190条、いわゆる死体損壊等罪の規定に「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する」とあります。自宅に遺骨を保管することは、「遺棄」に該当するのでしょうか。

 死体損壊等罪は、宗教的平穏および宗教的感情を保護するために置かれた法律です。よって、死体損壊等罪にあたる「遺棄」とは、習俗上の埋葬とはいえない方法で遺骨などを放棄(放置も含む)することをいいます。
 なので、遺骨を仏壇などで保管していれば、「遺棄」に該当することはありません。


最後に

16.6.7.3
 四十九日法要に合わせてお墓に納骨することが一般的ですが、遺骨を安置しておく期間はご家族で決めることができます。
 故人にいつまでも見守っていてもらいたい、お墓に納めたくないなどの希望を持たれている方は、手元供養を検討すると良いかもしれません。
 手元供養とは、遺骨を小さな骨壷に納めて自宅で安置したり、遺骨をペンダントや指輪に加工して常に身につけられるようにする、新しい供養の方法です。語りかける対象ができ、故人を身近に感じることができるので、遺族の心のケアとして注目されています。


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 勝手に埋めたり放置したりせず、お仏壇などで保管していれば自宅で遺骨を保管することに対して問題は特にありません。しかしずっとそのままにしておくことは好ましくなく、どのように供養をするのか考える必要があります。

・お墓の引越しをしたい!
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2016-06-07 | Posted in お墓の引越し、墓じまいComments Closed 

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