お墓を継ぐのは誰?


 「○○家の墓」や「先祖代々の墓」などと刻まれたお墓は家墓と呼ばれています。家族や親族などのつながりがある者の遺骨を納めるお墓です。自分がお墓に入った次は下の世代の者が入り、その次はそのまた下の世代が…というように、受け継がれていくお墓です。最近になって注目されている永代供養墓共同墓などと違い、従来のスタイルのお墓といえます。それでは「お墓を受け継ぐ」というのは、お墓のどこまでが対象になるのでしょうか。

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 通常、「お墓を継ぐ」といったときに対象となるのは、墓石の所有権墓地使用権の2つです。
 墓地使用権とは、墓石の所有者が墓石を建てるために、墓地の内の限定された区画を利用することができる権利のことをいいます。そして墓地使用権は墓石の所有権と一体となる権利として祭祀財産に含まれます。それら祭祀財産を受け継ぐ人を、祭祀承継者と呼びます。それでは、祭祀承継者はどのように決められるのでしょうか。

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祭祀承継者はどう決める?

 祭祀承継者は次のような順で決められます。

1.被相続人による指定
2.慣習による指定
3.家庭裁判所による指定


被相続人による指定

 被相続人(亡くなる方)が祭祀承継者を指定した場合、その人が祭祀承継者になります。指定の時期や方法は定められていません。生前の指定でも、遺言の内での指定でも、口頭での指定でも構いません。

祭祀承継者の指定を断れる?

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 通常の相続財産と違い、祭祀承継には放棄の規定がありません。
 もっとも祭祀承継者とはお墓などの祭祀財産(仏壇や位牌など)の所有者であり、法要などを行う法的な義務を負うわけではありません。よって、遠方に住んでいて祭祀や法要を行うのが難しい場合は、法要などは他の方にお願いするのが良いでしょう。

慣習による決定

 被相続人による指定がなければ、慣習により祭祀承継者が決められます。ここでいう慣習とは、その地方で一般的に通じているしきたりのことを指します。

長男でなければ祭祀承継者になれない!?

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 祭祀承継者は誰でもなることができます。
 大阪高裁昭和24年10月29日の判決によると、「(略)慣習とは、旧法時代の家督相続的慣習ではなく、新民法施行後新たに育成される慣習である」と判示しています。戦前の長男優先の家督制度は廃止されたので、祭祀承継者は長男のみという制限はないと明らかにされました。

家庭裁判所による指定

 被相続人の指定がなく、かつ慣習によっても祭祀承継者が決められていない場合は、家庭裁判所の審判によって祭祀承継者が指定されます。
 利害関係人が祭祀承継者の指定を求める調停を申し立てることで、家庭裁判所が審判を開始します。「承継者と被相続人との身分関係のほか、過去の生活関係及び生活感情の緊密度、承継者の祭祀主宰の意思や能力、利害関係人の意見等諸般の事情を総合して判断」されることになります(大阪高裁昭和59年10月15日決定)。長男だから当然に祭祀承継者になる、というような判断がされるわけではありません。


お問い合わせ

 承継者を決めていなければ、慣習や家庭裁判所によって祭祀承継者が指定されてしまいます。今あるお墓をこのまま守っていて欲しいのか、それとも墓じまいして整理して欲しいのか。お墓の希望があるなら自分で祭祀承継者を指定し、事前にお話し合いをする必要があります。

・下の世代にお墓の面倒をかけたくない…
・承継の必要のないお墓に移りたい!
・お墓を継いだら何をすれば?

 上記のようなご要望、お悩み、疑問をお持ちの方は是非さくらい行政書士事務所までご相談ください!
お問い合わせ大無料


2016-06-21 | Posted in お墓の引越し、墓じまいComments Closed 

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