実録!遺言書の保管場所
故人が遺言書を作ったということは聞いていたけど、どこに置いてあるかはわからない…。そんな状態だと、ご家族は途方に暮れられてしまうでしょう。今回は、こんなところから遺言書が出てきた!という事例をご紹介します。
目次
自筆証書遺言の場合
遺言書の捜索で問題となるのは、自筆証書遺言の場合です。保管場所についてのお話がないまま亡くなると、家中をひっくり返して遺言書を探さねばなりません。「ここに置いてある」と事前に説明があった場合でも、言われていた場所にないという困った事態もままあります。結局、遺言書はどこにしまわれていたのでしょうか。
自宅内の場合
金庫、仏壇など
大事なものをしまうのに相応しい場所なので、最初に探されるのではないでしょうか。実際にここで保管されていることも多いです。
タンス、本棚、机の引き出しなど
金庫や仏壇などになければ、次はこちらを探すことがほとんどです。リビングや故人の書斎などにあるタンスや本棚などの収納場所を、文字通りひっくり返して捜索しなければならない場合があります。遺言書が故人の愛読書に挟まって発見されたケースも…。
自宅外の場合
・親友など、信頼できる人
・菩提寺の住職
・弁護士や行政書士などの専門家
などのことが多いです。専門家に預けていれば、遺言者の死後にしかるべき対処をしてもらえます。友人や住職さんに預けていると、彼らに事故や引越しなどがあったときに、遺言書のことを連絡してもらえないことがあります。こちらから確認してみるとよいでしょう。
また、遺言の保管場所を銀行の貸金庫にすることは避けた方がよいです。名義人が死亡すると貸金庫は凍結され、開けるには相続人全員の同意(相続人全員の印鑑証明書の提出)が必要となります。相続手続きを開始する前に煩雑な手続きを取らなければならないことになりかねないので、銀行の貸金庫を遺言書の保管場所にすることはオススメできません。
公正証書遺言の場合
公正証書遺言の原本は公証役場に20年間保管され、遺言を検索をすることもできます。どこの公証役場で作ったかわからなくても、遺言の検索は全国どこの公証役場でも行えます。
相続人や受遺者(遺贈を受ける人)などの利害関係人のみが検索を請求でき、また請求できる時期は遺言者の死後に限ります。検索自体は無料ですが、見つかった遺言書を閲覧する場合や印刷する場合は料金がかかります。
検索請求に必要な書類
・遺言者が死亡したことを証明する書類
(除籍謄本、死亡診断書など)
・請求人が利害関係者であることを証明する書類
(戸籍謄本 ただし除籍謄本に請求人の名前が記載されていれば不要)
・請求人の身分を証明するもの
(運転免許証、パスポートなど)
検索の注意点
遺言書が死亡直前に作成された場合、死亡直後に検索をしてもシステムの関係で見つからない場合があります。そんなときは、しばらくしてから再検索を行うとよいでしょう。
お問い合わせ
遺言書は遺言者が自由に書くことのできるものですが、それを使って相続手続きを行うのは残されるご家族です。保管場所は彼らにしっかり伝えておく、専門家に預けておく、公正証書遺言で作成するなど、ご家族に負担のかからないような保管方法を考えておきましょう。
・遺言書を書いておきたい!
・安心できる保管方法は?
・出てきた遺言書にどう対処すれば…