火葬はイヤ! 日本で土葬はできるの?
目次
日本の火葬率は99.94%
土葬は世界中で今なお行われている埋葬方法です。昭和初期頃の日本でも、山間部を中心に土葬が行われていました。「土葬でお墓に納めて欲しい」という希望は現在でも叶えることができるのでしょうか?
法律には土葬の規定があるが…
墓地埋葬法の2条1項には、「この法律で『埋葬』とは、死体(妊娠4箇月以上の死胎を含む。)を土中に葬ることをいう」と、土葬を認めています。加えて、埋葬は墓地以外の区域で行ってはならない(同法4条1項)、埋葬をする際は市町村長の許可を受けなければならない(同法5条1項)といった規定も定められています。
火葬した後の焼骨をお墓に納めることは『埋蔵』、土葬する場合は『埋葬』と、それぞれ区別されています。焼骨の埋蔵にも、墓地以外の区域でしてはならない、市町村長の許可を得る必要があるなどといった規定がもちろん置かれています。
土葬が認められることはほとんどない
都道府県の土葬に関する条例や規則では、埋葬時の穴の深さや禁止地域の指定はしていますが、土葬を原則禁止しているものはごく一部です。しかし実際に土葬の許可を求めようとすると、上記のように審査の途中で止められてしまうことが多く見られます。条例や規則では明記されていませんが、土葬は実質的に禁止されていると解されるのが現状です。
土葬が認められない3つの理由
国民の宗教的感情から
墓地埋葬法の1条では、「この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする」と定められています。
上述の土葬を禁止する行政指導はこれを受け、現在は市街化が進んでいること、そのままの遺体を埋葬することへの抵抗感などを「国民の宗教的感情」に照らして考慮した結果、土葬を行うには支障があると判断しているものと考えられます。
お墓の構造から
お墓の構造にも土葬が認められない事情があります。
現在のお墓は、下にカロート(焼骨を納めるスペース)を設けることが通常です。遺体をそのまま納める土葬は、現在のお墓では物理的に不可能であると言わざるを得ません。
報告義務の発生から
墓地埋葬法17条に「墓地又は火葬場の管理者は、毎月5日までに、その前月中の埋葬又は火葬の状況を、墓地又は火葬場所在地の市町村長に報告しなければならない」と規定されています。「埋葬」=土葬をすると墓地の管理者は毎月、墓地の状況を報告する義務を負うことになります。「埋蔵」=焼骨の納骨だけなら報告義務は発生しないので、墓地管理者は運営上の事情から、土葬を認めることを敬遠しがちなのです。
上記の理由から、行政側だけでなく墓地の管理者側の事情からも、土葬が認められ難いというのが現状です。
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以上のように、現在の日本で土葬が認められることはほぼありません。「火葬は熱そう・怖い」という理由から土葬を希望される方もおられますが、国民の意識が変化してきているということを受け入れていただかなければならないでしょう。
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2016-09-22 | Posted in お墓の引越し、墓じまい | Comments Closed