遺言執行者の実務 ~預貯金の名義変更~


16.5.3.1
 遺言執行者のことをこちらの記事で解説いたしました。確かに遺言執行者の指定は必須ではないのですが、遺言執行者を決めておかないとスムーズに進まない相続手続きがあります。金融機関などの預貯金名義の変更手続きです。

 有効な遺言に書かれている相続財産の分配方法は、法律の規定に優先します(但し、遺留分という侵害できない相続分があります)。相続財産が預貯金のみで、それを全て配偶者に相続させる、という遺言をすることもできます。しかし金融機関は相続トラブルに巻き込まれるのを回避するため、相続での預貯金名義変更の際は、相続人全員の印鑑証明書の提出(=相続人全員の同意)を求めることがほとんどです。
 実務上では厄介なと預貯金の名義変更ですが、遺言執行者がいれば、遺言執行者の印鑑証明書のみで名義変更の手続きが可能です。では、遺言書はあるけれど遺言執行者がいないという場合は、相続人全員の印鑑証明書は必要なのか。各銀行に問い合わせてみました。

銀行の回答

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A銀行
●遺言書があっても遺言執行者が指定されていない場合は、相続人全員の印鑑証明書が必要。
その他必要な書類は、亡くなった方の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、銀行所定の相続届など

B銀行
●同上。加えて、遺言は公正証書のものが望ましい。

 上記のような回答をいただきました。相続人の人数が多い場合、または相続人の間で連絡を取りづらい事情がある場合などは、相続人全員の印鑑証明書を集めるのは困難になります。故人の預金から引き出しができないと生活費に困る!という方もいらっしゃるでしょうし、相続財産に金融機関の預貯金がないケースも少ないと思われます。
 相続手続きをスムーズにするためには、やはり遺言執行者を指定しておいた方が良いでしょう。

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2016-05-04 | Posted in 遺言書Comments Closed 

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