宗教・宗旨・宗派不問とは?


16.6.29.2
 改葬先を探されている方の中には、宗教・宗旨・宗派不問」「宗教自由」といった掲示のある墓地や霊園を見たことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 自分は仏教徒だけど配偶者がキリスト教徒だというご家庭の場合、宗教不問という条件は重要なものになると思われます。このような文言を掲げている霊園であるなら、夫婦揃って同じお墓に入ることができるのでしょうか?


16.5.27.2
 「宗教」とは、仏教、キリスト教、神道などの分類を指します。
 「宗旨」とは、一つの宗教の中の分派のことを指します。浄土宗、浄土真宗、真言宗など、通常は仏教の中の13宗のことを意味します。
 「宗派」とは、教義の解釈の相違により、宗旨の中からさらに分かれた分派のことを意味します。
 このような分類から、「宗旨・宗派不問」とは仏教徒であることを前提にしているといえます。それでは、宗旨・宗派だけでなく宗教も不問という文言が入っている墓地であるなら、どの宗教を信じている人でもその墓地に納骨することができるのでしょうか?


宗教・宗旨・宗派不問とは

 「宗教・宗旨・宗派不問」という文言は、墓地の経営主体によって意味が変わってきます。(墓地の経営主体による違いの解説はこちら)

公営墓地

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 「宗教・宗旨・宗派不問」の文言を掲げているのが公営墓地の場合、原則として制限はありません。
 公営墓地の経営主体は国や地方公共団体であり、これらが特定の宗教と結びつくことは憲法により禁じられています。よって、墓地を使用する人を限定することは許されず、墓地使用権者になればそのお墓に納骨することができます。

寺院墓地

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 寺院の一角を墓地としている寺院墓地の場合、そのお寺の檀家になる(=その寺院の信徒になる)ことがお墓を使用する条件になることが一般的です。
 「宗教・宗旨・宗派不問」という言葉が掲げられているのに何故?と思われるかもしれません。「宗教・宗旨・宗派不問」という言葉は、「ここの檀徒になるなら、過去に信じていた宗教・宗旨・宗派は問わない」という意味で使われていることもあるのです。
 このような意味になる理由には、歴史的なものと法的なものの2つの背景があります。
 時代は江戸時代にまで遡ります。当時禁制だったキリスト教徒の排除を目的とするため、全ての者がどこかの寺院に所属するという寺請制度が採用されました。寺院ではそこに帰依する檀信徒のみを埋葬していたので、その慣習が今なお残っているのです。
 法的な背景として、寺院には信教の自由が保障されいているということがあります。墓地の使用を寺院の檀信徒のみ認めるという制限は寺院の宗教活動の範囲内と認められ、法的に問題が生じません。

民間霊園

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 民間霊園も公営墓地と同じく、宗旨や宗派による制限はないことが一般的です。
 墓地の経営主体が企業や公益法人ではなく寺院の場合なら、自宗派の者しか墓地の使用を認めないこともありますが、墓地購入者を広く募集するという理由から使用者に制限を設けないというパターンも多く見られます。自宗派以外の者にも墓地の使用を認めることも信教の自由に含まれるので、こちらにも法的な問題はありません。
 注意したいのは、民間霊園がお寺の境内にある場合です。造成前は民間企業や公営法人が管理主体だったのに、すべての区画の販売が終了したら管理主体が寺院に移行してしまうことがあります。そうした場合、その寺院の檀家となることを要求されてトラブルに発展することもありえます。


最後に

16.6.29.1
 「宗教・宗旨・宗派不問」という言葉は、墓地の経営主体や運営方針によって様々な意味で捉えられます。お墓を購入した後になってから「檀家となってもらう」という話をされ、トラブルになったという事例もあります。「宗教・宗旨・宗派不問」という条件にこだわる方は、

1.正確な意味
2.墓地の管理主体が変更しないか

 などを事前にしっかりと確認しておきましょう。

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 改葬先を決める上で、自分の信教は大きな比重を占めるものだと思います。上述の通りお墓を購入した後にトラブルとなるケースもあるので、お墓の引越し先を決める際には確認やチェックを慎重に行いましょう

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2016-06-29 | Posted in お墓の引越し、墓じまいComments Closed 

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