お墓に入れる人の範囲は?


16.7.11.1
 墓地の使用規則等に納骨できる人(お墓に入れる人)の制限がかけられているケースがあります。
 妻子のない従兄弟も自分のお墓に入れたいが、使用規則に「納骨できるのは墓地使用者の親・兄弟姉妹・子・孫(直系親族)に限る」といった制限が課せられている場合、どうしたら良いのでしょうか。


法律による制限

16.7.11.3
 墓地埋葬法13条では、墓地等の管理者は正当な理由がなければ納骨や埋葬を拒んではいけないと規定しています。
 墓地埋葬法13条が規定された趣旨は2つあります。納骨や埋葬が円滑に行われ、遺族やその関係者の死者に対する感情を損なうことを防止すること。公衆衛生やその他の公共の福祉に反する事態を招くことのないようにすること。以上の2つです。そのため、埋葬や納骨を拒否できる「正当な理由」に当たるかどうかは、上記の趣旨に照らして社会通念により判断されます。具体的には、「新たな埋葬等を行う余地がないこと、申込者が墓地等の正当な管理に支障を及ぼすおそれがあること」等と、限定的に解釈されています(神戸地裁平成5年7月19日判決)。
 よって、法律上において、お墓に納骨できる親族の範囲を限定する規定はないといえます。
 但し、墓地の使用を寺院の檀信徒のみ認めるという制限は「正当な理由」として認められています。


使用規則による制限

16.7.11.2
 墓地の使用規則や管理規則とは、契約の約款(不特定多数との契約を処理するため、あらかじめ定型的に定められた契約の条項)の役割を果たすものです。
 したがって墓地の使用規則や管理規則に定められた内容は墓地使用者と墓地管理者との間の契約内容となります。よって、墓地使用者は使用規則等に従うことが原則とされます。
 しかし上述の通り、法律上では納骨や埋葬できる親族の範囲を制限できる規定はありません。それなのに、冒頭のケースのように「納骨できるのは直系の親族限る」という墓地の使用規則も存在します。このようなことは認められるのでしょうか。


墓地埋葬法と使用規則の関係

16.6.16.2
 お墓に入ることのできる親族の範囲を制限する規定は、法律上はありません。しかし、「直系親族のみ納骨を認める」という旨の使用規則には従う必要があります。
 お墓に入れる者が直系の親族に限るという内容の墓地使用規則があるお墓に自分の従兄弟も入れたい場合は、墓地埋葬法13条を根拠として納骨や埋葬などの拒否を争うことができます。
 しかし使用規則の効力を争わずとも、墓地管理者に事情を話すことにより、納骨の承諾を得られることもあります。
 一般的な墓地の使用規則では6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族のほか、墓地管理者の承諾を得た者の納骨や埋葬を認めるという旨の定めをしているところも多いからです。墓地の使用規則等の制限によりお墓に入れたい人を納骨できない場合、まずは墓地や霊園の管理者と話し合ってみましょう。


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 改葬や墓じまいをする際には自分の親族だけでなく、墓地の使用規則などについても考慮しなければならないこともあります。ご自身の希望を叶えるため、トラブルのないお墓の引越しを目指しましょう。

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2016-07-11 | Posted in お墓の引越し、墓じまいComments Closed 

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