お墓の遺骨は誰のもの?
お墓に納められた遺骨は誰のもの?
遺骨の所有権は祭祀承継者が持つ
祭祀承継者とは、お墓や仏壇などの祭祀財産を相続し、ご先祖の法要などを主宰する人のことをいいます(祭祀承継者についてはこちらから)。祭祀承継者は墓石や墓地の使用権だけでなく、お墓の中の遺骨の所有権を持つことになります。
祭祀承継者は、
1.亡くなった人の指定
2.慣習
3.裁判所の調停
2.慣習
3.裁判所の調停
といった順番で決められます。長男が祭祀承継者になるという慣習がある地域であっても、亡くなった方が遺言などで祭祀承継者に次男を指定していると、次男が祭祀承継者になります。
住職さんなどは墓地の管理人ではありますが、お墓に納められている遺骨の所有者ではありません。そのため、「離檀料として100万円を支払わなければ、遺骨の取り出し(=改葬)は認めない」という主張をすることができないのです(離檀料についてはこちらから)。
遺骨の所有者が祭祀承継者である、ということが原因で困ったことが起こるケースがあります。分骨をするときです。
分骨には祭祀承継者の許可が必要
遺骨を取り出して別の墓地に移し変えるという点は改葬と似ていますが異なる点として、分骨をする際には、改葬許可証を取得する必要がありません。
また、分骨の請求があれば、墓地管理者は分骨証明書を発行しなければなりません。その際に、墓地管理者の承諾は不要です。
しかし、祭祀承継者から分骨の承諾を得る必要があります。このときに、祭祀承継者と不仲であったりすると、分骨の承諾をしてもらえないことも考えられます。
承諾なく分骨すると、刑事罰に問われる恐れがある
仕方がないから無断でお墓を開けて遺骨の一部を持ち出した…、なんてことをすると、大きな問題になります。遺骨の所有権は祭祀承継者である兄にあるので、承諾なく分骨をすると民事上の損害賠償を負うばかりでなく、刑法191条の墳墓発掘死体損壊等罪の刑事罰にも当たります。
遺骨の所有者である祭祀承継者の承諾がなければ、分骨を適法にすることはできません。このケースですと、兄とよく話し合って翻意してもらい、分骨の承諾を得る必要があります。話し合いを重ねても分骨の承諾を得られなければ、たとえ両親の遺骨を納めることができなくても、心安らかに眠れるように願う自分の気持ちがあれば良いと納得するほかないでしょう。
お問い合わせ
祭祀承継者以外の者が改葬を行う際も、祭祀承継者(=墓地使用者)の承諾が必要となります。お墓の手続きを考えておられる方は、親族の中でどなたが祭祀承継者なのかを確認しておきましょう。
・分骨を行いたい!
・改葬をするのに、何から始めれば…
・お墓の手続きに必要な書類って?
2016-09-15 | Posted in お墓の引越し、墓じまい | Comments Closed