遺言書の保管
自筆証書遺言の方式で遺言を作成した場合、自分の責任で遺言書を保管する必要があります。どこに、どうやって保管すれば安全に遺言書を残せるのか?突き詰めて考えていけば、細かな注意点が色々とあります。
目次
保管がおざなりだと、こうなる!?
相続に不利な遺言を残された者が隠滅のために燃やした、大事にしまい過ぎてどこにいったかわからなくなった。いずれも実例があります。紙は火や水に弱く、薄いゆえに紛失しやすいものです。どんなに良い遺言書を作成しても、保管がおざなりだと遺言を残した意味がなくなってしまうかもしれません。
遺言書の保管には封をするのか
封印してある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いの元で開封しなければなりません(民法1004条3項)。
自筆証書遺言には検認という手続きもあります。あまり手数がかからないようにした方が相続手続きがスムーズに進みます。
自筆証書遺言の保管
1.遺言を複数通作成する
遺言書を1通だけでなく複数通作成しておくと、紛失や滅失の防止に効果的です。複数通作成した旨と、保管した場所や預かってもらった人を関係者に告げておきます。1通の所在についてだけはある人に、別の所在については別の者にというふうに、遺言書の在り処をバラバラに知らせておけば、滅失に対してさらに強くなります。
有効な方法ではありますが、複数の人に遺言の内容を知られてしまう可能性があることをご留意ください。また複数通の遺言を用意する際には、同じ内容を、それぞれ全て自筆で書かなければなりません。遺言内の日付が同じなのに内容が異なる遺言が出てきた場合、遺言全体が無効となってしまうこともありえます。また、自筆証書遺言の要件の1つとして、全ての内容を自筆で書くという要件があります。つまり、自筆証書遺言をコピーしたものには遺言としての効力がありません。
2.関係者一同に保管させる
上記の方法とは逆に、内容を公表した上で、1通の遺言書を家族などの関係者複数名に保管させる方法もあります。遺言書が公知のものとなりますが、相続人の方たちに内容をオープンにした方が後日の紛争を防げるケースもあります。
3.保管サービスを利用する
行政書士事務所などの遺言書預かりのサービスを利用します。事務所の金庫や提携している銀行の貸金庫などに預けるので、紛失はもちろん偽造や滅失のおそれもありません。
銀行の貸金庫に預けるのなら自分で…と、ご自身を名義人にした貸金庫で遺言書を保管する方もいらっしゃいますが、絶対におやめください!
名義人が亡くなった場合、貸金庫は直ちに凍結されてしまいます。凍結を解除するには相続人全員の同意(相続人全員の印鑑証明書の提出)が必要となることがほとんどです。遺言書を引き出せないとそれに沿った相続手続きを取ることができないので、遺言の内容を実現できなくなることもあります。
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