遺言書を開けちゃった!


16.6.3.1
 封をされた自筆証書遺言書は、勝手に開けてはいけません。遺言書の開封の際には、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いの元で行われる必要があります(民法1004条3項)。遺言書の偽造や変造を防止するためです。
 豪邸の一室で、緊張の面持ちの相続人たちが見守る中、弁護士が故人の遺言書を読み上げる…。ドラマや映画でそんな場面を見たことがある方もいらっしゃるでしょう。そのためか、封をしてある遺言書(公正証書遺言は除く)は家庭裁判所で開封する、という規定にピンと来ない方も多いと思われます。遺言書を見つけ、ついうっかり開けてしまった…。そんなときはどうすれば良いか、解説いたします。


16.6.3.2
 封をしてある遺言書を、うっかり開けてしまった…。そんな場合の遺言書の有効性や、必要な手続きなどを解説いたします。

開封した人や、開封された遺言書はどうなる?

 自筆証書遺言の封を勝手に開封しても、その行為だけで開けてしまった方に相続権がなくなる、などということはありません。また、遺言が無効になるということもありません。
 但し開封したことにより5万円以下の過料を科されることがあります(民法1005条)。また、封を開けられたことによって、遺言書が偽造や変造を受けたものでないと立証することが難しくなってしまいます。

検認手続き

 封をされた遺言書を開けてしまった場合でも、検認という手続きは必要です。開封してしまった事情などを申述した上で、家庭裁判所で検認手続きの申請をしましょう。
 検認とは、自筆証書遺言の形式で作成された遺言書に対して裁判所が行うチェックのことです。公正証書遺言の形式で作成された場合、事前に公証役場という公的機関で遺言書のチェックを行っているので検認手続きは不要なのですが、自筆証書遺言の場合はそれがありません。よって、事後に裁判所という公的機関で遺言書のチェックを行うのです。事前か事後のどちらでも良いのですが、遺言には公的機関の確認が必要なのです。


開封への対策法

 封をされた遺言書は開封してはいけない…。この規定を破らないための有効な対策として、封筒を二重にするという手段があります。

16.6.3.3
 外側の封筒の中に、「遺言書は開封せずに裁判所にて手続きを行うこと」といった旨のメモを残しておくとなお良いでしょう。遺言書の封を開けてはいけないとわかっていても、ご家族が亡くなられた際の悲しみや葬儀の際のドタバタでうっかりしてしまうこともあります。遺されるご家族たちの心情に配慮して、遺言者が対策を取る方がよいかもしれません。

お問い合わせ

・出てきた遺言書にどう対処すれば?
・うっかり遺言書の封を開けてしまった!
・家族を安心させられる遺言書を書きたい…

 上記のようなご要望、お悩み、トラブルをお持ちの方は、是非さくらい行政書士事務所までご相談ください!
お問い合わせ大無料


2016-06-03 | Posted in 遺言書Comments Closed 

関連記事