遺産分けを5年後に先延ばしする方法とは?


16.8.4.3
 遺言書内での指定や相続人の協議などにより、遺産分けが開始される時期を延長させることができます。
 相続が開始してから相続放棄や限定承認もされずに3ヶ月が経過すると、単純承認したものとみなされます。(限定承認、相続放棄、単純承認についてはこちらから)
 単純承認をするとまずは、被相続人が持っていた財産や負債を、相続人全員が共同で相続することになります。共同で相続しているという状態から、土地家屋は妻に、現金は長女に、高価な腕時計は長男に…といったように、個々の財産を各相続人に分配させるには手続きが必要となります。この手続きのことを、法律の用語では遺産分割といいます。
 相続人にそれぞれ財産を分配する遺産分割手続きですが、これを一定期間禁止することもできます。これを、遺産分割の禁止と呼びます。


先延ばしにした方がよいケースとは?

16.6.9.3
 遺産分割を延長したほうがよいケースとはどのようなものでしょうか。

◆遺産のほとんどが土地家屋であり、遺産分けをしたら妻の住む
 場所がなくなるという場合
◆現在は未成年の相続人を遺産分割協議に参加させたい場合
◆海外で働いているなど、遠方に住んでいる相続人がいる場合

 などなどです。
 それでは、遺産分割を禁止するにはどうすればよいのでしょうか。


遺産分割禁止は遺言内で行うのが簡単

16.5.20.3
 最も簡単なのは、遺言中で遺産分割禁止を指定する方法です。
 相続人たちの協議、家庭裁判所の調停や審判で遺産分割を禁止することができますが、遺言で分割禁止を指定するのが最もお手軽かつ簡単です。以下が、遺産分割を禁止する遺言書の文例となります。

遺産分割禁止を指定した遺言の例

16.8.4.2
 全ての遺産ではなく、一部の遺産(土地家屋など)の分割は禁止するけれど、その他の遺産(預貯金、有価証券など)は分けても良いという遺言にすることもできます。

遺産分割禁止期間の上限は5年まで

16.8.4.4
 遺産分割を禁止できる期間は、最大で5年です。
 しかし、妻の存命中は遺産分割をしないで欲しいなど、法定の期間を超えて分割を禁止したいこともあるかと思います。
 確実ではありませんが、そんな場合は遺言書内で希望を述べておきましょう。相続人たちが遺言者の意思を尊重してくれることが期待できます。以下が文例です。

5年を超えて遺産分割を禁止したい場合の遺言の例

16.8.4.1

最後に

16.5.27.2
 遺言内の指定や相続人の協議で遺産分けの時期を遅らせることはできますが、相続放棄や限定承認の手続きの時期は変えられません。
 相続放棄や限定承認は原則として相続が始まってから3ヶ月以内に行う必要があります。これらを検討している方は、注意しておきましょう。


お問い合わせ

 一見、どういうメリットがあるの?と思われる遺産分割禁止を指定した遺言ですが、うまく利用すれば相続人たちの事情に合わせて相続手続きを始めることできます。相続人たちに配慮した遺言になるのです。

・遺産分けの時期を遅らせる遺言を書きたい!
・遺言書を残しておきたいけど、どうすれば…
・終活って何からすればいいの?

 上記のようなご要望、お悩み、疑問をお持ちの方は是非さくらい行政書士事務所までご相談ください!
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2016-08-07 | Posted in 遺言書Comments Closed 

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